鈴木先生が著作した「超硬合金と焼結硬質材料―基礎と応用」から焼結(p22-p32)の項目をまとめました。
要望あれば詳しくまとめます。
成形体を加熱し、原料粒子が徐々に接着する現象をさします。粒子間の隙間が小さくなり全体が収縮します。
1.脱ワックス
プレスの際に潤滑や破損防止のためワックスが添加
これをガス中や真空中で加熱、蒸発させ除去
すすが発生しないようにする。(低温400℃、水素やアルゴンなどのガス流の利用)
2.予備焼結
プレス後、機械成形を行うときに実施(強度アップのため、600-1000℃)
Co粒子の焼結が起こる。チョーク程度に強さが上昇
ここでは収縮はない
混合粉末や雰囲気ガス同士反応することがある。
目的とする炭素量を正確に含有した超硬合金を安定して焼結できるように雰囲気を制御
・超硬合金の焼結温度は液相出現温度である1350-1550℃
WC-Co系では1300-1350℃
・焼結(昇温)に伴う収縮量の変化
WC-5%Co合金、プレス圧150N/mm^2、水素雰囲気で焼結したときの様子によると
1000℃付近、焼結が顕著に進行(収縮=原料粒子同士の結合が進行)
1300℃付近、急速に収縮(保持温度、時間が特性へ大きく寄与する)
a.水素焼結
雰囲気のカーボンポテンシャルを一定にすることが大切(CH4を用いることもある)
b.真空焼結
安定した焼結や省エネのためこちらに移行
b1バッチ式焼結炉
焼結工程のみ
脱ワックスと焼結の両工程
b2半連続式焼結炉
脱ワックス室、焼結炉が別
小中量生産に用いられる。
b3連続式焼結炉
脱ワックスをガス雰囲気。隣接の真空炉で焼結。
c.熱間静水圧プレス(HIP)
ArやN2で加圧し、高温高圧で等方的に加圧
高密度化(残留ポア=組織的欠陥の除去)
ポアを消滅させる適切な温度、時間圧力が存在(図1.31)
超硬合金の抗折力の上昇と抗折力のばらつきが小さくなる。
Coが少ない(CoはWCの接着剤)超硬合金の焼結
粉末を約20MPaで加圧、1500℃以上の高温が必要なこともある。
鈴木 壽 著「超硬合金と焼結硬質材料―基礎と応用」