PVD装置、特にArc Ion Plating法のバッチ式装置に関してターゲットの裏側にはコイルが設置され、磁場をかけた状態でコーティングされることがあります。
なぜコーティング時に磁場を加えるのでしょうか。本日はコイルの役割を紹介します。
コイルの大きな役割としてターゲット表面の水平磁場を最適化しアークスポットを加速させることが挙げられます。
これによって成膜レート(成膜するスピード)やドロップレットを抑制することができ、コーティング表面状態が良化することが知られます。
ほかにもターゲット表面に分布するイオン雲(一般的に金属イオン)の分布が変化し、コーティング組織が変化することも推察されます。
高原一樹ほか:R&D 神戸製鋼技報 Vol.50, No.2 (2000), p.53