今回も永井祐さんの「広い世界と2や8や7」からひとつ短歌を紹介します。詩集を通して味わった感動を聞いてくれる友人ができました。嬉しいです。
今日はこの詩集の中からPASMOの短歌を紹介します。
早速今日紹介する短歌がこちらです。
「5000円あっという間に交通費でなくなってPASMOが光ってる」
あなたはこの短歌を詠んで何を感じましたか。
主人公が悲しんでいる短歌だと感じましたか。それとも喜んでいる短歌だと感じましたか。暗い雰囲気だと思いましたか。憂鬱を感じましたか。愉快だと感じましたか。
自分の思うように自由に考察してみてください。以下筆者の好き勝手な考察です。
この短歌に登場する主人公(5000円支払った人)は悲しんでいるでしょうか。
初見では多くの人が、高い交通費を支払ってあっという間にお金が無くなっていく様を悲しんでいる、もしくは憂鬱に思っていると読むのではないでしょうか。
自分もそのように思いました。自動改札にかざしたPASMOが物悲しく光っているのかなと。
しかし、短歌を味わっていく中で悲しみ以外の感情もあるかもしれないと考えるようになりました。
そもそも、交通費は何のために使ったのでしょうか。
友人との遊びで使った交通費、仕事のために泣く泣く使った交通費、それとも大好きな君に会うための交通費かもしれません。
あっという間という言葉が「お金がなくなったこと」と「過ごした時間、楽しかった時間」にかかってくるとすれば、主人公は単に落ち込んでいるのではなく、楽しかった一日を終え、寂しさなどの物思いにふけっている可能性もあるなと思いました。そして、この先の生活や未来にハツラツとした前向きな気持ちを持っているかもしれないと。
このように解釈してみると、最後のPASMO光ってるのフレーズが、うきうきしながら改札を出る主人公の様子や主人公を後押しするかのような改札の様子も見えてくる気がします。もしかすると、この短歌は主人公の前向きな気持ちを表しているのかもしれません。
今回の考察ではPASMO自身が光っているというよりは改札にかざした時の光であると解釈しました。
他に何か解釈があるかなと考えたときに主人公が目に涙を浮かべているかもしれないなと思いました。なにか悔しいこと、反対に嬉しいことがありPASMOを見たときに光っているのかなと。
もしくは本当にPASMOが光っているように見えたかもしれません。ICカードたった一枚で自分は5000円をあっという間に消費させられました。
人類が積み重ねてきた科学技術の発展速度とその歴史の長さに思いを馳せ、PASMOに対してある種の神格化、畏敬の念を感じたのかもしれません。
このPASMOの光の解釈でいいものはないかなと探し続けていこうと思います。
今回はPASMOについて詠んだ短歌を味わっていきました。更新が少し空いてしまい、久しぶりの投稿になりました。計画的にブログを書けるような人間になりたいです。
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