穴あけ加工を行うために用いられるドリル。この工具の先端にはシンニングと呼ばれる部位が存在します。
シンニングはなぜ存在するのか、どうして必要なのか解説します。
ドリルの底刃(先端部分)の溝のことをさします。シンニングには種類があり、その形状からXシンニング、Rシンニング、Sシンニングなどいくつか種類があります。この溝のおかげで切れ刃として活躍する部分を増やすことができます。
シンニングを理解する上で、チゼルエッジという言葉がカギとなります。
チゼルエッジは刃の逃げ面同士の交点を表します。ドリル加工においてこの部位は切る(加工する)という機能は有していません。そのため、理想はチゼルエッジが点となるようなドリル形状であることが求められます。
シンニングを有するドリルはチゼルエッジを小さくすることに役立ち、切削抵抗(スラスト、トルク)を小さくすることや切りくず排出性を向上するなど精度や寿命向上に寄与しています。
以下これらのことについて詳しく述べていきます。
シンニングにより、ドリルの先端がより細くなり、より正確に穴をあけることができます。食い込みや食いつきと表現することがありますが、切削初期のブレが小さくなり安定した加工を行うことができます。また、シンニングにより、穴をあける速度が向上するため、生産性も向上します。
シンニングにより、ドリルの先端の表面積が減少し、穴をあける際の抵抗が減ります。これにより、ドリルの消耗が減少し、ドリルの寿命が延びるため、コスト削減につながります。
シンニングにより、ドリルの先端がより細くなるため、芯ずれが少なく穴あけ精度が向上します。特に、微小な穴をあける場合には、シンニングが必要不可欠です。
ここまでシンニングの重要性やその役割について見てきました。続きはまた次回。