永井祐さんの「広い世界と2や8や7」からひとつ短歌を紹介します。
今日は少しぞっとするような、しかし興味深い短歌を紹介します。
早速今日紹介する短歌がこちらです。
「会った人が死んでしまうということを なんか思ったコンビニのレジ」
どうして人はいつか死んでしまうという大切なことを忘れてしまうのでしょうか。この短歌をみてハッとさせられた人も多いと思います。今日行ったコンビニの店員さんもコンビニのお客さんも、友達も家族も、そしてもちろん自分自身もいつか死んでしまいます。
当たり前だけど、当たり前すぎて私たちは忘れてしまいます。
限りある命を大切にしようだとか、生きたくても生きられない人の分まで、、、とかいうつもりはありません。そのような言葉がちっぽけなことに思えるほどつらい時、しんどい時が人間にはあると思います。
ただ「自分を含めたすべての人間はいつか死ぬ」ということを覚えていると辛い時にも、「前向きに諦められる」気がします。その課題や問題に対して自分ができる行動をする勇気をもらえる気がします。
それにしてもどうして主人公はコンビニのレジにて、このことを思ったのでしょうか。コンビニの店員さんやお客さんの中に真っ白な顔をしていた人がいたのでしょうか。もしくは自分自身がコンビニで働いていて、様々なお客さんを見る中で様々な人生の一場面を見たのかもしれません。
コンビニを訪れると老若男女さまざまな人が訪れます。地域によって時間によってもお客さんの特徴は様々で、そういった違いを見ることが楽しかったりします。
お客さんを見る中でその人の「人生の哲学」や「人生に対する向きあい方」を覗く場面があるような気がします。その中でふと思った短歌なのでしょうか。
筆者自身飲食店で接客をしたためか、この短歌を見たときになんとなく「分かる」と思いました。
この短歌からブルーハーツの「Train, train」の以下のフレーズを思い出しました。
世界中に定められたどんな記念日なんかより、
あなたが生きている今日はどんなに素晴らしいだろう。
世界中に建てられてるどんな記念碑なんかより、
あなたが生きている今日はどんなに意味があるだろう。
THE BLUE HEARTS「TRAIN-TRAIN」
この短歌もこの曲と同様なことを言っていると思います。今、今日を生きる私たちに大切なことを教えてくれている気がします。
会った人が死んでしまうという短歌の歌いだしもすごくいいなと改めて思います。これまで会った人たちはみんな死んでしまうのだとなんか思った後に、ハッとします。自分も例外ではないと。
いかがでしたか。永井さんの短歌は気づきがあって読んでいて非常に面白いです。どんどん紹介していきたいなと思います。(1261文字)
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